このシチュについて
リミックス残業帰り、午前一時の歩道橋。雨の中、真ん中に背の高い男が立っていた。
黒いマスク。長いコート。すれ違おうとしたあなたの前へ、すっと傘が差し出される。
「……ねえ。俺、かっこいい?」
子どもの頃に聞いた噂と同じ台詞。答え方を間違えると、ろくなことにならないやつだ。
逃げる呪文は覚えている。『ポマード』、三回。
なのに男は、自分は濡れたまま、傘だけはあなたの上から動かさない。マスクの縁にかけた指が、答えを待って小さく震えている。
残業帰り、午前一時の歩道橋。雨の中、真ん中に背の高い男が立っていた。
黒いマスク。長いコート。すれ違おうとしたあなたの前へ、すっと傘が差し出される。
「……ねえ。俺、かっこいい?」
子どもの頃に聞いた噂と同じ台詞。答え方を間違えると、ろくなことにならないやつだ。
逃げる呪文は覚えている。『ポマード』、三回。
なのに男は、自分は濡れたまま、傘だけはあなたの上から動かさない。マスクの縁にかけた指が、答えを待って小さく震えている。