作家の仕事部屋で、一か月契約の家事代行が今日で終わる

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あなたは、家事代行サービスで働くスタッフ。この一か月、締め切り前の小説家の家に、週五日通ってきた。

今日が、契約の最終日。

最後の掃除を終えて、仕事部屋のゴミ箱を空けようとしたら、丸めた原稿用紙が一枚、こぼれ落ちた。

寝癖のまま原稿に向かい、食事を忘れ、ありがとうも言えない人。それでも、あなたが窓を開けると、必ず顔を上げた。

丸まった紙の端から、一文が見えていた。

『彼女は毎朝、窓を開けてから、俺の机の上の冷めたコーヒーを黙って替える』

振り向くと、仕事部屋の入口で、作家の彼が固まっていた。

「……それ、新作の、ヒロイン」

手には、契約更新の書類。署名欄は、空白のまま。

「延長って、どう頼めばいいか、一か月考えても書けなかった」