不器用シチュ: 13件
不器用のシチュを選んで、好きなキャラと無料でAIチャットを始められます。 ダウンロード不要ですぐに始められます。 13件のシチュから選べます。
作家の仕事部屋で、一か月契約の家事代行が今日で終わる
あなたは、家事代行サービスで働くスタッフ。この一か月、締め切り前の小説家の家に、週五日通ってきた。
今日が、契約の最終日。
最後の掃除を終えて、仕事部屋のゴミ箱を空けようとしたら、丸めた原稿用紙が一枚、こぼれ落ちた。
寝癖のまま原稿に向かい、食事を忘れ、ありがとうも言えない人。それでも、あなたが窓を開けると、必ず顔を上げた。
丸まった紙の端から、一文が見えていた。
『彼女は毎朝、窓を開けてから、俺の机の上の冷めたコーヒーを黙って替える』
振り向くと、仕事部屋の入口で、作家の彼が固まっていた。
「……それ、新作の、ヒロイン」
手には、契約更新の書類。署名欄は、空白のまま。
「延長って、どう頼めばいいか、一か月考えても書けなかった」
夜勤明けの病棟で、研修医が最後の缶コーヒーを置く
あなたは、総合病院の内科病棟で働く看護師。夜勤明けの朝、申し送りを終えてナースステーションへ戻った。
机の上に、いつもの缶コーヒー。微糖の、少しだけ温かいやつ。
この二年、夜勤明けのたびに置かれていた。誰が置いているかは、とっくに知っている。
今朝は、置いた本人がまだそこにいた。白衣のポケットに手を入れて、所在なさげに立っている。
研修医の彼。今日で二年間の研修が終わって、来週からは別の病院へ行く。
「……今日で、最後なので」
缶を指さして、それから、自分の指先を見る。
「二年前の最初の夜勤で、俺、患者さんの急変で何もできなくて。あなたが、これ買ってくれたんです」
「その日から、ずっと――」
院内PHSが鳴った。彼は画面を見て、顔をしかめて、それでも切らずに、あなたを見ている。
朝のパン屋で、若頭がメロンパンを毎日全部買っていく
あなたは、商店街の小さなパン屋を一人で切り盛りしている店主。
朝七時、開店と同時に、黒いスーツの男の人が入ってくる。この半年、毎朝。
「メロンパン、全部」
トレーに二十個。表情ひとつ変えずに会計して、帰っていく。
近所の人がこっそり教えてくれた。あの人、この辺りの組の若頭なんだって。
今朝、レジで聞いてみた。そんなに、メロンパン好きなんですか。
彼は財布を出したまま、固まった。
「……半年前。あんたが、売れ残ると悲しいって言ってた」
言ってから、耳まで赤くなる。
「だから、売れ残らせねえ。……事務所の若いのは、もう見たくもねえって言ってるけど」
山道の無人販売所で、代金箱の文通相手と鉢合わせる
あなたは、地方の支店に転勤して半年の会社員。毎週土曜、峠道の途中にある野菜の無人販売所に寄るのが楽しみになった。
トマトもキュウリも、驚くほどおいしい。三か月前、代金と一緒に「とてもおいしかったです」とメモを入れた。翌週、値札の裏に、太い鉛筆で返事があった。
『ありがと。来週はトウモロコシ』
それから毎週、代金箱ごしのやりとりが続いている。先週は、少し調子に乗って書いた。
『このトマトを作った人と、結婚したいです』
今朝、販売所に車を停めると、棚の前に軽トラが止まっていた。麦わら帽子の男の人が、トマトの箱を並べている。思っていたよりずっと若くて、ずっと背が高い。
彼は、あなたの手の中のいつもの花柄のメモ用紙を見て、手を止めた。首のタオルで顔を拭いて、作業着のポケットから、先週のメモを出す。
「……これ書いたの、あんた?」
日に焼けた耳が、赤い。
「本気なら、畑、見に来る?」
真夜中の牛舎で、牧場主の彼と子牛の出産を見守る
あなたは、会社を辞めて、高原の牧場に住み込みで手伝いに来た。何となく応募して、一か月になる。
夜中の二時。寝泊まりしている離れの戸を叩く音で起こされた。
「お産、始まった。……悪い、手、貸して」
牧場主の彼は、普段ほとんど話さない人。あなたに仕事を教えるときも、「こう」「そこ」くらいしか言わない。
裸電球の牛舎。藁の上で、母牛が苦しそうに鳴いている。彼は袖をまくって、母牛の首を撫でながら、あなたにバケツと縄を指差した。
一時間後。子牛の前足が見えた。彼が縄をかけ、あなたに端を握らせる。
「次、母さんがいきんだら、一緒に引く。……俺の手、見とって」
あなたの手の上から、彼の大きな手が重なった。藁と汗と、生き物の匂い。
「大丈夫。あんたは、ちゃんとできる」
220+
移住体験の古民家で、無口な大家が毎朝薪を割っている
あなたは、仕事に疲れて、山あいの村の移住体験に申し込んだ会社員。二週間、古民家で一人暮らしをする。
大家は、隣の母屋に住む三十歳くらいの男の人。挨拶のとき、「どうも」しか言わなかった。
毎朝六時、薪を割る音で目が覚める。
縁側に出ると、玄関の前に何かが置いてある。一日目は、朝採れの卵。二日目は、竹で編んだ籠に入ったトマト。三日目は、手書きの地図。村の湧き水と、夕日がきれいに見える場所に丸がついていた。
五日目の朝。縁側に出たあなたに気づいて、彼が斧を下ろした。
しばらく、黙ってあなたを見ている。それから、ぶっきらぼうに。
「……顔色、来た日よりは、まし」
また、薪を割り始める。でも、さっきより音が少しだけ、ゆっくりになった。
前線の救護天幕で、傭兵隊長が聖女の治癒を断る
あなたは、前線の野戦病院に派遣された聖女。毎日、運び込まれる兵士たちを癒してきた。
夜更け。最後に天幕へ入ってきたのは、傭兵隊の隊長だった。脇腹から血が滲んでいるのに、自分の足で歩いてきた。
「包帯だけでいい」
あなたが手をかざそうとすると、彼はその手首をつかんで止めた。
「聖女の祈りは、使うと消耗するんだろう。昼間、三十人治して、倒れかけてたのを見た」
血の匂いの中で、彼は空いた片手で包帯を巻こうとする。不器用な手つきで、何度も解ける。
「明日の朝、俺たちはまた出る。そのとき、あんたが倒れてたら困る」
つかんだ手首を離さないまま、彼はあなたを見上げた。
「だから、今夜は治さなくていい。……代わりに、ここにいてくれ」
借りた彼のスマホに、『プロポーズ 断られない方法』の履歴
日曜の夜。同棲中の部屋のソファ。
充電の切れたあなたは、彼のスマホを借りて、明日の天気を調べようとした。
検索欄をタップした瞬間、履歴が並ぶ。
『プロポーズ 断られない方法』
『指輪 サイズ こっそり 測る』
『彼女 寝てる 指 測る バレる』
『プロポーズ 夜景 ベタすぎる』
昨夜、眠りかけのとき、指に糸が巻かれた気がした。あれは、夢じゃなかったのかもしれない。
浴室のシャワーの音が、止まった。
来週の土曜は、あなたの誕生日。「レストラン、予約しといたから」と言われたのは、ついおととい。
「スマホ、使えた?」
タオルで髪を拭きながら、彼がリビングに戻ってくる。
結婚式に花婿が来なかった。ドレスのまま、彼のルームメイトの部屋へ押しかけた
結婚式の当日、花婿が来なかった。式場から逃げ出して、ウエディングドレスのまま、彼がルームメイトと住んでいた部屋へ走った。
ドアを開けたのは、寝ぐせのままのルームメイト。売れないピアニストの、少し頼りない人。
「……え、あいつ、いないけど。てか、そのドレス。……とりあえず、入る? 麦茶しかないけど」
部屋の奥に、古いピアノが見えた。
白杖をついて歩く私に、街で恐れられる彼が『俺の顔、怖くねえの?』
弱視の私は、白杖をついて歩いている。商店街で人にぶつかって転びかけたとき、腕をつかんで支えてくれた人がいた。
お礼を言うと、周りが妙に静かになった。あとで聞いたら、彼はこの街で一番恐れられている人らしい。
翌日、同じ場所で。ぶっきらぼうな声が、すぐ近くで聞こえた。
「……昨日の。お前さ、俺の顔、怖くねえの?」
離婚届を出す前夜、堅物の自衛官の夫が『君の好きな料理を教えてくれ』
出会って三か月で結婚した、堅物の自衛官の夫。価値観が合わなくて、明日の朝、離婚届を出しに行く。
最後の夜。台所に立った彼が、慣れない手つきでエプロンを結びながら言った。
「結婚してから、一度も聞いていなかった。……君の好きな料理を、教えてくれ」
テーブルの上には、二人の名前を書いた離婚届が置いてある。
雇われ妻の私と、毎週火曜は『ハグの日』。今夜、彼が腕をほどかない
家事代行の仕事から始まった、お給料つきの契約結婚。そのとき二人で決めた一行が、『毎週火曜はハグの日』。
いつもは三秒で離れる、恋愛経験ゼロの彼。なのに今夜は、リビングで抱きしめたまま、腕がほどけない。
「……明日、契約更新の面談だよね。その前に、契約書に書いてないことを言ってもいいかな」
耳元で聞こえる心臓の音が、私のより速い。
失恋した夜、無口な兄が何も聞かずに夜食のラーメンを作り始める
泣き腫らした目のまま、こっそり実家のドアを開けた深夜。台所の電気がついていた。
スウェット姿の兄が、鍋に湯を沸かしている。あなたの顔を一度だけ見て、何も聞かずに、冷蔵庫から卵を二つ出した。
「……座ってろ」
換気扇の音と、麺をほぐす箸の音だけが台所に響く。
「ネギ、多めでいいよな。……昔から、そうだったろ」
