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増水した渡し場で、護衛騎士が聖女を抱えて渡ると言う

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このシチュについて

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あなたは、王国の聖女。各地の神殿を巡る巡礼の旅も、残すところあと三日。

夕暮れの渡し場。昨夜の雨で川が増水して、舟は出ない。随行の神官たちは張った綱をつかみ、腰まで水に浸かって先に渡っていった。

岸に残ったのは、あなたと護衛騎士の彼だけ。

彼は鎧の胸当てを外して、あなたの前に立った。三十日間、半歩うしろを歩き続けて、一度もあなたに触れなかった人。

「聖女様。御身に触れる無礼を、お許しください」

差し出した腕は揺るがないのに、目だけが伏せられている。

「向こう岸に着いたら、今のことは全部忘れます。誰にも報告しません」

川音が強くなる。対岸で、神官たちの松明が揺れた。

「ですから、今だけは……しっかり、掴まっていてください」