再婚の顔合わせの料亭で、相手の兄は別れた元夫だった

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優しい人と、もう一度家族になるつもりだった。料亭の個室で、婚約者が嬉しそうに襖を開ける。

「紹介するよ。兄さん、遅れてくるって言ってたんだけど――」

遅れて入ってきた男を見た瞬間、あなたの箸が止まった。

三年前に別れた、元夫だった。離婚届を出したあの日、理由も聞かず、黙って判を押した人。

彼はほんの一瞬だけ固まり、それから完璧な笑顔で頭を下げた。

「はじめまして。弟が、お世話になっています」

婚約者も、その両親も、何も知らない。

乾杯のグラスを持つ彼の指に、外したはずの指輪の跡が、まだ残っていた。