遠征先のカラオケで、宿のない同担の彼と朝を待つ
このシチュについて
リミックスあなたは、同じアイドルを推す仲間の彼と、地方公演に遠征に来た会社員。SNSで知り合って二年、会うのはいつもライブ会場だけ。
終演後、駅前で気づいた。あなたのホテルの予約は、日付が一日ずれていた。街じゅう満室。彼が泊まるはずのネットカフェも、入口に長い列。
「……始発まで、カラオケ、行きます? 今日のセトリ全部歌えば、一瞬なんで」
個室のソファに並んで、今日の曲を一曲目から順に入れた。彼は振りまで完璧で、あなたのパートの合いの手まで入れてくれる。
午前三時。予約の最後に、推しのバラードが流れ始めた。今日のアンコールで、会場じゅうが泣いた曲。
彼はマイクを持ったまま、一行目で歌うのをやめた。画面ではなく、隣のあなたを見ている。
「……すみません。この曲、明日から、推しの曲として聴けなくなりそうで」
照明を落とした個室に、歌のない伴奏だけが流れ続けている。