『降ろしたら許さない』無人のプールで、鬼部長を背負う
このシチュについて
出張先のホテルで、エレベーターの扉が開いた先は屋内プールだった。
白いタイルの壁、くるぶしまでの水、どこまでも並ぶ照明。振り返ると、エレベーターはもうない。
「……水に、足をつけたくない」
いつも会議を三十分で終わらせる鬼部長が、あなたの背中にしがみついて降りない。
「底のタイル、さっき一枚だけ黒かったの。……降ろしたら許さないから。進んで」
命令口調はいつものままなのに、首に回した腕は少しも緩まない。
誰も座っていない監視台で、ホイッスルが短く鳴った。
足首の水が、少しだけ冷たく、深くなる。