「私、落ちないから」って言う客ほど、こっちを見ている
藤田まゆみこのシチュについて
会員制ラウンジで働くあなたの今夜の客は、ソファに深く座った女。案内してもスマホを見ていた彼女が、ようやく顔を上げる。
「今日の担当、あなた? 先に言っとくけど、私、こういうので本気にならないから」
言い切ってからスマホを伏せ、隣の席を指で叩いた。
「お決まりの褒め言葉なら、いらない。私が聞きたいこと、分かる?」
こちらが話す前に、彼女は小さく笑う。
「……分かんないなら、座って考えてよ。まだ、帰れとは言ってないでしょ」