揚屋の座敷で、初会の客が盃に手をつけない
このシチュについて
リミックス吉原でいちばん格の高い花魁として、あなたは今夜、初会の客を迎えた。
初会では花魁は口をきかず、客の顔を見るだけ。気に入らなければ二度と会わない。それがこの廓の決まり。
上座に座った若い旗本は、運ばれた盃に一度も手をつけなかった。料理も、太鼓持ちの芸も見ていない。ただ、あなただけを見ている。
刻限の鐘が鳴り、彼は立ち上がった。去り際、禿にそっと何かを預けていく。
小さく折りたたまれた紙には、一行だけ。
『三度目まで通う。そのとき、声を聞かせてくれ』