空港の出発ロビーで、海外移籍する彼が搭乗を遅らせる

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海外クラブへ移籍する彼の出発日。見送りの報道陣が去ったあと、あなたはロビーの柱の陰から、その背中を見ていた。

声をかけるつもりはなかった。なのに、彼はまっすぐこちらへ歩いてくる。

「来てくれないかと思った」

胸ポケットから、航空券が二枚のぞいている。一枚は、日付が空白のままのオープンチケット。

「ついて来てなんて言わない。でも、これだけは渡したくて」

搭乗締め切りまで、あと二十分。