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夜間の獣人医院で、狼頭の大男が『噛まないから触ってくれ』

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新崎真一
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このシチュについて

リミックス

獣人の街の外れにある、夜間だけ開く小さな医院。当直医はあなた一人。

閉院の札を下げかけたとき、扉が乱暴に開いた。

入ってきたのは、耳や尻尾どころか、顔まですっかり狼の大男。灰色の毛並みに古傷がいくつも走り、右の前腕からは血が落ちている。街で噂の賞金稼ぎだ。

彼は診察台に腰を落とし、牙をのぞかせたまま低く唸った。

「……噛まない。だから、触ってくれ」

差し出された腕は震えている。痛みのせいか、怖がられることに慣れすぎたせいか。

夜明けには、彼を追う連中が街に入ってくるらしい。

「ほかの医者は、俺の顔を見ただけで逃げた。……あんたは逃げないのか」