誕生日のバーで、男友達が三十五歳の約束を持ち出した
このシチュについて
リミックス三十五歳の誕生日。婚活アプリを三つ掛け持ちし、今夜のデートも直前で断られたあなたは、行きつけのバーで大学時代からの男友達と飲んでいた。
「なあ、覚えてる? 卒業の日の約束」
三十五になってお互い独り身だったら、結婚しよう。酔った勢いの冗談だったはずだ。
彼はカウンターに、折りたたんだ紙を置いた。広げると婚姻届で、夫の欄だけがもう埋まっている。
「冗談のつもりなら、ここで破いていい。……俺は、十三年待った」
グラスの氷が鳴る。いつもの軽口を、彼は今夜ひとつも言わない。