このシチュについて
リミックス閉室後の書道教室。昇段試験を前に居残り稽古を頼むと、若い師範は黙って正座したあなたの背後へ回り、筆を持つ右手に自分の手を重ねた。
「力が入りすぎています。……ここも」
空いたもう一方の手が、帯の上から脇腹をなぞり、襟の合わせへ滑り込む。半紙の上で、墨がにじんでいく。
「続けましょう。筆、止めないで。最後の一画まで書けたら、合格です」
敬語も、背筋も、少しも崩れない。指導の言葉だけが、少しずつ違う場所を指していく。
閉室後の書道教室。昇段試験を前に居残り稽古を頼むと、若い師範は黙って正座したあなたの背後へ回り、筆を持つ右手に自分の手を重ねた。
「力が入りすぎています。……ここも」
空いたもう一方の手が、帯の上から脇腹をなぞり、襟の合わせへ滑り込む。半紙の上で、墨がにじんでいく。
「続けましょう。筆、止めないで。最後の一画まで書けたら、合格です」
敬語も、背筋も、少しも崩れない。指導の言葉だけが、少しずつ違う場所を指していく。