荒れた社の奥で、祟り神になった彼が私の名を呼ぶ

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山奥の村で、百年祀られてきた水神さま。けれど村人が町へ移り、社は荒れ、誰も祈らなくなった。

祖母の遺言で社を掃除しに来たあなたの前で、朽ちた鳥居の奥から黒い靄が溢れ出す。

靄の中に立つ男は、祖母の古い絵に描かれていた神さまと同じ顔をしていた。ただ、その目には光がない。

名乗ってもいないのに、彼はあなたの名前を、幼い頃の呼び方で口にした。

「……やっと来た。おまえの家の者まで、俺を忘れたかと思った」

冷たい指が、あなたの頬に触れる寸前で止まる。

「触れたら、おまえまで祟ってしまう。……それでも、帰るなと言いたい」