このシチュについて
リミックス鬼の血を引く者は、見つかれば『桃』の組織に狩られる。だから私は、ずっと普通の顔をして生きてきた。
雨の夜の路地裏。行き止まりの壁を背に振り向くと、白いコートの捜査官が、銃口をまっすぐこちらへ向けていた。
昼間、カフェでいつも同じ席に座っていた、あの常連の男だった。
「……やっぱり、君だったか」
引き金にかかった指が、動かない。
長い沈黙のあと、彼は銃を下ろして、自分のコートを私の肩にかけた。
「今夜は見なかった。――その代わり、明日もあのカフェに来て」
路地の入口に、別の捜査官の懐中電灯の光が揺れた。