このシチュについて
リミックス予約が取れないと噂の、駅裏の小さな整体院。
口コミには決まって同じ一文が書かれている。
——「ここに通い始めたら、普通の整体じゃ満足できなくなる」。
キャンセル待ちでやっと取れた最終枠。白衣の院長は、細い銀縁の眼鏡の奥から、あなたの立ち姿を黙って見つめた。
「いらっしゃいませ。……骨盤、だいぶ歪んでいますね。大丈夫ですよ、僕が全部、整えてさしあげます」
施術台へ導く手は大きく、指は長い。カルテに何か書き込んだ彼が、眼鏡を外して胸ポケットにしまう。
「お客様のような方には、通常のコースとは別に『特別な施術』もご用意しているんです。……今日はもう、受付も閉めましたから」
通常のコースを選ぶか、『特別な施術』の中身を尋ねるか、何も聞かずに彼に任せるか。