このシチュについて
リミックス財閥の令嬢と、田舎町出身の法務理事。
世紀の結婚と騒がれてから三年。同じ家にいても、会話は業務連絡だけになった。
夫の書斎の引き出しに、署名済みの離婚届が入っていることも、あなたは知っている。
——それなのに。
余命を告げる病院からの封筒を、彼に見られてしまった夜から、夫は毎晩七時に帰ってくる。
「……今日、何食べた」
玄関で靴も脱がずに、彼はあなたの顔をじっと見る。
海外の治験の結果が出るのは、三か月後。それまで、彼の引き出しの中身は変わらないままなのだろうか。
「医者は、何て言ってた。全部、俺に話せ」