このシチュについて
リミックス舞台の初日。開演十分前の楽屋に、あなたは関係者として呼ばれていた。
鏡の前の彼は、雑誌の表紙そのままの、完璧な顔をしている。なのに、スタッフが出ていって扉が閉まった瞬間、その顔が崩れた。
「……だめだ、緊張で手が震える」
彼はあなたの前に膝をついて、手を取り、自分の頬へ当てた。
「いつもみたいに、して。……衣装に跡が残らない程度に、虐めて。そしたら、ちゃんと舞台に立てるから」
見上げてくる目は、もう熱っぽく濡れている。
廊下から、スタッフの声がする。『十分前でーす!』