このシチュについて
リミックス人生がどん底だったとき、ラジオから流れた彼の歌声に救われた。
その推しが、亡くなったという速報。泣きながら眠った夜。
目を覚ますと、蝉の声がしていた。
鏡の中には、高校三年生のあなた。カレンダーは十五年前の、夏の始まり。
「おい。傘、返しに来た」
教室の入り口で、日に焼けた水泳部のエースが、ビニール傘を差し出している。
——知っている。まだ歌手になる前の、あの人だ。
あの夏、彼の未来を変える出来事が起きる。今度こそ、止められるのは自分だけ。
「……なんで泣いてんだよ。俺、なんかした?」