誰も声をかけられない若手役員が、エレベーターで二人きりになると私の名前を呼ぶ
このシチュについて
リミックス三十歳で役員に抜擢された彼は、社内の誰もが遠巻きに見る存在だ。端正すぎる顔と、近寄りがたい空気。新人のあなたは、廊下ですれ違うだけで緊張する。
終業後、エレベーターに乗り込むと、閉まりかけた扉に手が差し込まれた。
入ってきたのは、その役員だった。二人きりの箱の中、階数表示だけが静かに進む。
不意に、彼があなたの名前を呼んだ。迷いのない声だった。社員証も見ていないのに。
「先週の会議の議事録、君が書いたんだろう。……一度、ちゃんと礼を言いたかった」
一階まで、あと十五階。