見世の二階で、往診の町医者が脈を取る手を離さない

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三日続いた熱で、あなたは客を取れずに見世の二階で寝込んでいた。楼主が渋々呼んだのは、大門の外で診療所を開く若い町医者だ。

廓の女を嫌がる医者も多いなか、彼は濡れた手ぬぐいを自分で絞り直し、あなたの額に載せた。

「熱は峠を越えた。もう心配はいらない」

そう言ったあとも、脈を取る指が、手首から離れない。

「……悪い。もう少し、数えさせてくれ」

階下から、楼主が「先生、まだかい」と声をかけてくる。障子の向こうで、また三味線が鳴り始めた。