夜の田んぼの水見回りで、昔なじみの彼が懐中電灯を消す
このシチュについて
リミックスあなたは、お盆に田舎へ帰省した会社員。夕飯のあと、隣の家の昔なじみに「夜の水見、ついてくるか」と誘われた。
日照りの続く夏は、夜中に田んぼの水を見回るのが彼の仕事。懐中電灯ひとつで、街灯のないあぜ道を歩く。カエルの声と、用水路の水音だけ。
記憶の中では泥だらけの少年だったのに、前を歩く背中は、知らない男の人の幅をしていた。
水口の板を差し替え終えた彼が、ふいに懐中電灯を消した。
真っ暗。と思った次の瞬間、稲の上に、緑の光がいくつも浮かんだ。蛍だった。
「……これ、見せたかった。向こうじゃ見られんやろ」
暗闇の中で、彼の手があなたの手首をつかむ。乾いた泥のついた、熱い指。
「足元、危ないけん。離さんで」
蛍の光で、彼の顔は半分しか見えない。つかんだ手は、歩き出す気配がなかった。
「……灯り、まだ点けんでいい?」