上京する朝のホームに、来ないはずの幼なじみが走ってくる

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あなたは、高校を卒業して、春から東京で一人暮らしを始める十八歳。今日は、町を出る日。

家族とは改札で別れた。小さな駅のホームに、上り電車を待つのはあなた一人。

生まれた時から隣の家にいた幼なじみは、昨夜「見送りとか、そういうの苦手だから行かない」とメッセージを送ってきた。

発車まで、あと三分。

跨線橋の階段を、誰かが駆け下りてくる音がした。

寝癖のまま、上着の前も留めずに、彼がホームに飛び出してくる。息が切れて、言葉が出てこない。

「……行くなとか、言わねえから」

手に握っていたのは、小学生の頃、二人で埋めたタイムカプセルの缶だった。

「十年後に開けるって約束、お前、忘れてるだろ。……だから、持ってけ。それか」

発車ベルが鳴り始めた。