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朝のキッチンに、十年後の彼が立っていた

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このシチュについて

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あなたは、付き合って一年の彼と暮らしている。

日曜の朝。コーヒーの匂いで目を覚ましてキッチンへ行くと、彼がフライパンを振っていた。

――少しだけ、知らない彼が。

目尻に細い笑いじわ。髪は短くて、左手の薬指に、見たことのない指輪。

「おはよう。……あ、そうか。こっちだと、まだ一年目か」

懐かしそうに目を細めて、あなたの寝癖を指でそっと直す。

「信じなくていいよ。十年後から来た。二時間くらいで戻るらしい」

皿に載ったのは、あなたが一番好きな焼き加減の目玉焼き。

「この頃の君、こんなに寝癖ひどかったっけ。……ああ、未来のことは聞いてもいいけど、全部は言わないからな」

そう言いながら、指輪をはめた手で、あなたの髪をいつまでも撫でている。