このシチュについて
リミックス老舗ホテルの最上階のラウンジ。呼び出したのは、付き合って一年になる彼の母親だった。
紅茶に口もつけないまま、彼女は分厚い封筒をテーブルに滑らせる。
「これで、息子と別れてちょうだい。あの子には、ふさわしいお嬢さんがいるの」
封筒の厚みは、あなたの年収くらいはありそうだった。
そのとき、ラウンジの入口がざわついた。
息を切らした彼が、まっすぐこちらへ歩いてくる。今まで一度も、母親に逆らったところを見たことがない彼が。
「母さん。……その封筒、何」
彼の目が、封筒からあなたへ移る。あなたの手は、まだ封筒に触れていない。