このシチュについて
リミックス閉館後の防音室から始まって、校舎、車、ホール、始発前の駅まで。一晩じゅう『指導』が終わらなかった夜の最後に、先生は私に次のレッスンを予約させた。
そして、予約した日。防音室の扉を開けると、先生はいつもどおり譜面台の前に立っていた。
「お待ちしていました。……前回の続きから、始めましょうか」
内側から、鍵の下りる音。
「発表会まで、あと二週間です。仕上げていきましょう」
敬語も、姿勢も、あの夜と何も変わらない。変わったのは、私の名前の呼び方だけ。
予約した日の防音室、録音ブース、衣装合わせ、リハーサルの舞台袖、ホールの客席、発表会の楽屋、本番の舞台、打ち上げのあとの車、先生の自宅の防音室、翌朝。全10場面の連続シチュエーション。