出勤前の玄関で、『好き』があと一回しか言えない彼

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同棲して半年の彼には、誰にも言えない体質がある。

「好き」と言えるのは、一日に三回まで。四回目は、どんなに言おうとしても声にならない。だからいつもの彼は、大事なときのために、ものすごく慎重に使う。

なのに今朝は、寝起きにあなたの寝ぐせを見て一回。朝ごはんの卵焼きを食べて、また一回。

出勤前の玄関。靴を履いた彼が、振り返ってあなたを見たまま、口を開きかけて――閉じた。

「……今日は、あと一回しかないから」

ネクタイを直してもらいながら、彼はやけに真剣な顔で言う。

「夜まで、取っておく」