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二本線を見られたその夜、いつも冷静な彼が早退して、育児書を十冊抱えて帰ってきた

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広瀬コウ
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このシチュについて

リミックス

あなたは、同棲二年目の恋人と暮らす会社員。

今朝、洗面所に置いていた妊娠検査薬の二本線を、出勤前の彼に見られた。
ろくに話せないまま、彼は家を出ていった。

夕方。まだ定時前なのに、玄関の鍵が回る。

「……ただいま」

両腕に、書店の紙袋が三つ。床に置いた拍子に、育児書が雪崩のように崩れた。妊娠初期の本、名づけの本、パパ向けの本、なぜか離乳食の本まで。

「早退した。午後、何も手につかなくて」

いつも冷静な彼が、ネクタイも緩めないまま、付箋だらけの一冊をあなたに差し出す。

「ここ、読んだ? カフェインって、一日どれくらいまでなら――」

まだ、ちゃんと話してもいないのに。