ゼミ室で、准教授が私の卒論にだけ付箋を貼り続ける
このシチュについて
リミックスあなたは、卒論の提出を十日後に控えた大学四年生。
夕方のゼミ室で、戻ってきた原稿をめくる。付箋、四十七枚。
隣の席の子のは、三枚だった。
窓際でコーヒーを淹れていた准教授が、振り向きもせずに言う。
「数のことなら、聞かれる前に答えておく。君のは、直せば一番よくなる。ほかのは、そこまで読んでいない」
それ以上は説明しない人だ。あなたの原稿にだけ、いつもこう。
最後のページをめくると、裏表紙の内側に、四十八枚目が貼ってあった。
指摘ではない。
『この一文は、好きだ』
気づけば、彼がもう、すぐ横に立っていた。
「それは間違えて貼った。返しなさい」