このシチュについて
リミックス閉館後の水族館。非常灯だけが灯るバックヤードに、関係者以外は知らない水槽がある。
中にいるのは、半年前に網にかかった人魚の男。あなたはその夜間飼育員。
彼は誰の前でも水底に沈んだまま、一度も声を聞かせたことがない。それなのに、あなたが給餌に来る時間だけは、なぜか水面の近くで待っている。
今夜、餌のバケツを置いた瞬間、濡れた手があなたの手首をつかんだ。
「明日の朝、俺は研究所に運ばれる」
初めて聞く声は、思っていたより低かった。
「その前に一度だけ、海を見せてくれ。……おまえとがいい」