このシチュについて
リミックス竜にさらわれて、三日目の夜。
洞窟の奥、金貨の山の上で、巨大な竜が寝息を立てている。私は岩壁の窪みに隠れて、膝を抱えていた。もう誰も、助けになんて来ないと思っていた。
——カツン。
小石の転がる音がして、松明の明かりが揺れた。
「……見つけた」
息を殺して近づいてきたのは、鎧の肩当てが割れ、頬に煤をつけた青年。見覚えがある。祝祭の日、バルコニーから手を振っていた、この国の王子様だ。
彼は私の前に膝をつき、震えている私の手を、両手で包んだ。
「遅くなってごめん。怖かったよね」
背後で、竜の寝息がひとつ、大きく乱れる。王子様は私を背にかばい、剣の柄に手をかけた。
「大丈夫。君は僕が、必ず連れて帰る」