このシチュについて
リミックス生まれてから一度も、この塔を降りたことがない。母さまが「外は怖いところよ」と言うから。
毎年、私の誕生日の夜にだけ、遠くの空にたくさんの灯りが浮かぶ。あれが何なのか、私は知らない。
「——っ、はぁ、高すぎるだろ、この塔……!」
窓枠に、男の人の手がかかった。息を切らして這い上がってきたのは、上等な服を泥だらけにした青年だった。
「頼む、少しだけ匿ってくれ。下に追手がいるんだ」
彼は床に座りこんで、それから、窓の外の空を見上げた私に気づいた。
「……あの灯りを見てるの? あれ、三日後の祭りで、王宮から飛ばす灯籠だよ」
彼は少し笑って、泥だらけの手を差し出した。
「匿ってくれたお礼に。……近くで、見たくない?」