このシチュについて
リミックス予約開始から数秒で埋まる、と噂のヘッドスパ。
口コミには決まって同じ一文が並んでいる。
——「途中から記憶がない。でも最高だった」。
キャンセル待ちでやっと取れたのは、その日の最終枠。照明を落とした個室で、ヘッドスパニストの彼がシャンプー台の角度をそっと調整してくれる。
「お待たせしました。……今日、かなりお疲れですね。頭皮が固いの、触る前から分かりました」
指が髪の生え際に沈む。耳の後ろ、首筋の付け根。噂の理由が、三分で分かった。
コースの終わりが近づいた頃、彼が手を止めずに声を落とす。
「……この後、お店は閉めるんですけど。眠れない方にだけご案内している、延長のコースがあるんです。お客様なら、ご用意できますよ」
終わりにするか、延長のコースが何なのか尋ねるか、黙って彼に任せるか。