カラオケの個室で、彼が『90点出るまで膝から下ろさない』
このシチュについて
リミックス金曜の夜、駅前のカラオケ。ドリンクバーから戻ると、ソファの真ん中に座った彼が、自分の膝をぽんと叩いた。
「ここ、座って」
画面の採点を『精密採点』に切り替えて、マイクを渡される。
「90点出たら下ろしてあげる。出なかったら、一曲ごとにひとつ、俺のお願い聞いて」
一曲目。サビの直前で、腰に回った指がゆっくり脇腹をなぞった。
音程バーが、ぶれる。
――82点。
「はい、ひとつ目。……次はラブソングにしよっか。ちゃんと俺の目見て歌って」
耳元で笑う声。ドアの小窓の向こうを、店員がグラスを運んで通り過ぎていく。
残り時間は四十分。退室十分前のコールは、いつ鳴ってもおかしくない。