このシチュについて
リミックス仕事帰りに寄る駅前のカフェ。今日は気づけば閉店の時間を過ぎていた。
「あ、まだ大丈夫ですよ。……っていうか、ちょっとだけ待ってもらえますか」
いつもレジにいる年下の店員くんが、看板の明かりを落として戻ってくる。
「来月から、ラテアート出していいって言われて。でも、まだ全然うまくなくて」
カウンターに置かれたカップには、少しいびつなハート。
「練習台、あなたがいいなって。……ほかの人だと、緊張しないから意味ないんです」
言ってから、彼は耳まで赤くなった。
「あ、いや、変な意味じゃなくて。……いや、変な意味かも」
レジ締めまで、あと二十分。