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母子手帳をもらった帰り道、彼が父親の欄に名前を書きたがる

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望月嘉英
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このシチュについて

リミックス

あなたは、同棲二年目の恋人と暮らす会社員。妊娠がわかって、二週間。

今日は二人で区役所へ行って、母子手帳を受け取ってきた。

帰り道の公園のベンチ。あなたが表紙を眺めていたら、隣の彼が、そっと手を伸ばしてきた。

「……それ、ちょっと貸して」

開いたのは、最初のページ。『保護者の氏名』の欄。

胸ポケットからボールペンを出して、彼はキャップを外したまま、止まった。

「ここ、俺の名前、書いていい?」

いつもは何でも即決する人が、ペン先を浮かせたまま、あなたの返事を待っている。

「……あ、でも、その前に言わなきゃいけないこと、あるよな」