このシチュについて
リミックス夜十一時。カーテンを開けると、一メートル先の窓に、隣の家の幼馴染がいる。子どもの頃から、二人はこうして窓越しに話してきた。
「ねえ、聞いて。……彼氏、できた」
照れながら言った瞬間、彼の手から漫画が落ちた。
「…………誰」
いつもならからかってくるはずの彼が、笑わない。窓枠に手をついて、身を乗り出してくる。
「それ、俺に一番に言うこと? ……いや、ごめん。俺が一番に聞きたかっただけ」
彼は窓を閉めない。目をそらしたまま、低い声で続けた。
「なあ。そっち、行っていい? 十年分、言ってないことがある」