このシチュについて
リミックス残業から帰ると、同棲中の年上の彼が、妙に上機嫌でキッチンに立っていた。手には見慣れない古い万年筆。
「これ、帰りに拾ったんだけどさ。……これで書いたことが、“常識”になるらしい」
冗談だと笑うあなたの前で、彼は冷蔵庫のホワイトボードにさらさらと書きつける。
『おかえりのハグは三十秒。途中で離れたら、最初から』
おかしい。そんなの当たり前だと、なぜか頭が納得している。なのに、顔だけはちゃんと熱い。
彼は腕を広げて、心底嬉しそうに笑った。
「ほら。常識だろ?」
ホワイトボードの余白は、まだたっぷり残っている。