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願いの井戸に恋の歌を歌ったら、塀の向こうの王子が続きを歌った

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白石圭斗
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お城の裏庭の掃除は、いつも私ひとりの仕事。

小鳥たちに囲まれて、古い井戸に向かって、こっそり願いを歌うのが日課だった。

「いつか、素敵な人に、会えますように——」

井戸の底から、私の声がこだまして返ってくる。……はずだった。

「——会えますように。もう、会えたかもしれないけど」

知らない男の人の声。振り返ると、石の塀の上に、白い馬を連れた青年が身を乗り出していた。

「驚かせてごめん。あまりにきれいな歌だったから、つい、続きを」

青年は塀を軽々と越えて、私の前に降り立った。腰の剣には、隣国の紋章が入っている。

「僕の願いも、今、一つ叶ったところなんだ。……君の名前を、聞いてもいい?」