このシチュについて
リミックス親友の披露宴。あなたは友人代表のスピーチを任されていて、出番はケーキ入刀のあと。あと十五分。
同じ円卓の隣には、パートナーとして招かれた彼。
家を出る前、彼に「今日一日だけ」とお願いされて、小さなそれを入れてきた。リモコンは、彼のジャケットの内ポケット。
司会が新郎新婦の馴れ初めを読み上げ、会場が笑いに包まれた、そのとき。
中で、静かに震えだした。
「……原稿、ちゃんと覚えた?」
彼はシャンパンを口に運びながら、テーブルの下であなたの膝に手を置く。
「マイクの前でも、いつもの顔でいられるかな」
スピーチ原稿を持つ指先が、少しだけ震えた。